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- 安倍内閣の肝いりで2016年からはじまった「企業主導型保育園」。
- この助成金をめぐりトラブルが続出しています。
- 東京都世田谷区で18人の保育士が辞める事態となった、「こどもの杜」の和田勝海社長(47)を文春が直撃取材しています。
10月末に東京都世田谷区で、同系列の2つの保育園の保育士ら計18人が一斉に退職するトラブルが起きた問題。
参照:文春オンライン
この、企業主導型保育園「こどもの杜」を運営する和田勝海社長(47)を「週刊文春」が取材しています。
退職した保育士らの証言によれば、大量退職の理由としては、残業代や賞与の未払い、保育士不足によるずさんな運営状況などがあげられています。
週刊文春の記事によると辞めた保育士への取材で、
「休日返上で月260時間以上働いたことがある。しかし、残業代も賞与もでない。社長自身も自宅や事務所の家賃を滞納していると聞いています。園に借金取りが来て、怖い思いもした。保育士全員が「ここはヤバイ」と逃げ出した。」
と語っています。
また、保育士が一人増えると「あと子供を3人入れられる」とも語っていたそうです。
それ以外にも、和田社長はセレブな保育園を目指していたようで
「認可保育園には生活保護の過程や、お風呂にも2、3日入れない子がいる」
「認可の保育士は皆サイコパス」
などの暴言を連発していたとの証言もあります。
和田社長は、もともとはスーパーの店舗開設などの不動産業が本業。
その後「保育園コンサルタント」も、自称するようになったようです。
和田氏を知る人物は、和田氏が度々不動産業でもクライアントと揉めることが多く、費用を巡って提訴されたこともあると語っています。
そして、今回の「こどもの杜」の建築費についても、1000万円以上の未払いで提訴されているとのことです。
現在、この企業型保育園の助成金に群がる「保育素人」が問題になっています。
この「企業主導型保育園」は2016年度、政府が待機児童対策の目玉として創設したものです。
この「企業型保育園」とは、企業が従業員向けに設けた保育所や、保育事業者が設立して複数の企業が共同利用する保育所などを指しており、幅広い企業が負担する「事業主拠出金」が財源です。
基準を満たせば開設費用の4分の3相当の助成金があり、運営でも認可保育所並みの助成金を受け取れることが特徴です。
都市部で定員20人のモデル例では、助成金額は開設工事だけで1億円強になり、3月現在で全国に2597カ所あり、定員は計約6万人。
この助成金目当ての畑違いの会社が参入して、トラブルが相次いでいます。
沖縄と名古屋の2社が経営難で園を開設できず、施設整備に使われた助成金が返ってきていません。
それ以外にも、秋田市の保育所元代表らが、助成金詐欺容疑で逮捕されています。
これは以前あった、介護施設の補助金フィーバーに似ています。
まず、見切り発車ではなく、きちんと法関係を整備してから開始しないと、税金だけでなく保育園にやっと入園した児童が、ある日突然保育園を追い出されるという事態になりかねません。