この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。
小林化工で水虫薬の製造に「裏手順書」
製薬会社「小林化工」が製造した爪水虫などの治療薬に睡眠導入剤の成分が混入した問題で、この薬について国の承認とは異なる製造手順を記した「裏手順書」が十数年前から製造現場で使われていたことが新たに判明しました。
小林 広幸社長
参照:小林加工HP
製薬会社「小林化工」(福井県あわら市)が製造した爪水虫などの治療薬に睡眠導入剤の成分が混入した問題で、この薬について国の承認とは異なる製造手順を記した「裏手順書」が十数年前から製造現場で使われていたことが、関係者への取材でわかった。県は違法な手順による製造が常態化し、健康被害につながった事態を重く見て、医薬品医療機器法に基づき、同社に対し業務停止命令を出す方向で検討している。県は今月中にも同社に処分の方針を伝える。弁明の機会を設け、来月中旬にも正式に処分する。厚生労働省によると、同法に基づく製薬会社への業務停止命令は、2016年に国の承認外の方法で血液製剤などを製造した熊本市の「化学及(および)血清療法研究所(化血研)」に出された110日間が最長で、県はこれと同程度の処分とする考えだ。睡眠導入剤成分が混入したのは、04年7月に販売が開始された「イトラコナゾール錠50『MEEK』」。関係者によると、国が承認した手順書では、薬の主成分を全て1回で入れることになっているが、「裏手順書」では2度に分けて入れると記載されていた。錠剤を固まりやすくするためとみられ、製造現場で十数年前から採用されていたという。問題の薬では、従業員が主成分を2度目に入れようとして、睡眠導入剤成分と取り違えていた。主成分と睡眠導入剤成分は、同じ棚の上下に並べて置かれていた。社内規定では2人1組でチェックすることになっていたが、守られず、出荷前のサンプル検査で異物混入の可能性を示すデータを検出しながら、見逃していた。県は同社に対し、年に2~4回程度の立ち入り調査を行ってきたが、その際は国が承認した正規の手順書のみが示されていた。問題の薬は20年夏に製造され、約9万錠が出荷された。服用した患者324人の6割超の214人が意識消失などの健康被害を訴えた。このうち2人が死亡し、意識を失うなどして22人が交通事故を起こしている。
読売新聞から引用
この問題では、服用した患者324人の6割超の214人が意識消失などの健康被害を訴え、2人が死亡し、意識を失うなどして22人が交通事故を起こしています。
オリックスも関与か
オリックスは、ジェネリック医薬品(後発薬)業界の成長性や小林化工の技術力に着目して、2020年1月に株式の過半数を取得して連結子会社化しています。
小林化工の社外取締役数人と監査役にオリックス社員が就任しており、小林化工の経営陣が引き続き経営や運営を担い、オリックス側は主に経営戦略や財務基盤の強化をサポートしているということです。
吸収した親会社のオリックスが、この「裏手順書」の存在を知らない訳がありません。
本来であれば、オリックスがこの不正を正すべき立場にあります。
「高い技術力=不正隠し」では、オリックスが「ひとの命よりも金」の会社であるとしか思えません。
入社数年目の若手社員がミス?
小林化工が製造した皮膚病用の飲み薬に睡眠導入剤の成分が混入した問題で、混入させたのは入社数年目の若手の男性作業員ということでした。
この従業員は社内調査に「当時の記憶がほとんどなく、なぜ間違えたのかわからない」と説明していたということです。
今回の事件を、会社が若手社員になすりつけようとしていたとしか思えません。
「裏手順書」などを作れば、作業が煩雑になり工程を間違えるリスクは当然増加します。
まとめると・・・
小林化工が国に提出した手順書では、薬の主成分を全て1回で入れることになっていますが、錠剤を固まりやすくするため「裏手順書」を作成し2度に分けて入れるようにしていました。
製造現場では、小林社長の指示で?十数年前から「裏手順書」にもとづいて薬を製造。
今回の事件は、2回目に入れる本当の薬が睡眠薬と同じ棚の上下に並べて置かれており、従業員が間違えて睡眠薬を混入。
社内規定では2人1組でチェックすることになっていましたがそれも守られず、出荷前のサンプル検査で異物混入の可能性を示すデータを検出しながらそれも見逃していたということになります。
もともと不正をしているので、社員にもコンプライアンスの意識がなく、人の命を預かる「薬」が小林化工ではただの金儲けの道具とされていたということになります。
そして、福井県の1年に2~4回程度の立ち入り調査には、国が承認した正規の手順書のみを提出していて会社ぐるみで隠蔽。
その後オリックスが親会社となり、社員もさらにやる気をなくし今回の重大事故に繋がったというところでしょうか。