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この事件の要点をざっくりいうと
- 密漁品の高値取引が横行しているナマコなどについて、漁業法の罰金を現行の200万円から3000万円へ大幅に引き上げることとしました。
- 密漁による暴力団の資金源を断つのが狙いです。
- 今年は、特に北海道では、密漁での逮捕が相次いでいました。
ナマコの密漁の罰金をあげる
密漁品の高値取引が横行しているナマコなどについて、漁業法の罰金を現行の200万円から3000万円へ大幅に引き上げることになりそうです。
現在の罰金200万円では、罰金を支払っても利益を得られてしまいます。
そのため、暴力団の資金源になっており、罰金を引き上げることでその旨味を断ち切るのが狙いです。
ナマコは、中国経済の発展に伴い、主に香港へ高級食材として輸出されています。
臨時国会で目指す漁業法改正案
政府では、今回の臨時国会で、漁業法改正案に罰金引き上げを盛り込むとしています。
これまでは違反しても立件するには、販売目的で密漁していることを立証しなければならなかったのを、都道府県の許可なく取っただけで検挙できるようにするとのことです。
この「販売目的」が立証できずに、検挙できなかった密漁は多々あったはずです。
つまり、自分が食べるためにナマコなどを密漁しただけで、検挙できます。
(検挙とは、容疑者をつかまえて警察に連れて行くこと)
この、ナマコは卸売市場を通さず、加工業者と直接取引されることが多く、密漁品が出回りやすいという特徴があります。
罰金引き上げの他に、密漁品を引き取る業者への罰則も新たに設けるとしています。
今年あったナマコの密漁
・11月7日、オホーツク管内雄武町沖でナマコを密漁したとして男11人が逮捕された事件で、漁業法違反(無許可潜水器漁業)などの疑いで12人目も逮捕されました。
・10月9日、稚内市内の海岸で6月、ナマコ約400キロの密漁が摘発された事件は、稚内署などが買い取り役の男2人を新たに逮捕し、一連の逮捕者は18人と大人数となりました。
・5月に北海道警は、石狩市の海岸でナマコ約450キロを密漁したとして、道海面漁業調整規則違反の疑いで暴力団組員らを逮捕。
これら以外にも、密漁で逮捕されている事件が北海道では多発しています。
ナマコの密漁が増えた理由としては、稚内漁協によると、かつて1キロ当たり300円程度だったナマコの価格が5、6年前には5千円台まで高騰。
中国の需要が突然高まり高級品になったためです。
特に、稚内周辺の海域では、イボが大きく形がそろっているナマコが多く、中国でより珍重されるため、密漁がより多くなっています。
これらの多くは、暴力団の資金源になるため、新しい法律が早く施行されることを望みます。