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心愛さんがアンケートで虐待を訴える
千葉県野田市の小学4年、栗原心愛(みあ)さん(10)が自宅で死亡した事件。
市は1日、心愛さんが父勇一郎容疑者(41)から受けた暴力について書き込んだ、いじめ調査アンケートの写しを公表しました。
その中には、
「お父さんにぼう力を受けています。夜中におこされたりおきているときにけられたりたたかれたりしています。先生どうにかできませんか」
と書かれていました。
担任の女性教諭が聞き取りした内容
アンケートには、心愛さんが自筆で書き込みした以外に、担任だった女性教諭が聞き取りした
「なぐられる10回(こぶし)」
「きのうのたたかれたあたま、せなか、首をけられて今もいたい」
「口をふさいで、ゆかにおしつける」
「おきなわでは、お母さんがやられていた」
といった内容も書き込まれていました。
アンケートの冒頭には「ひみつをまもりますので、しょうじきにこたえてください」と書かれていましたが、秘密は守られませんでした。
小学校が念書を書く
心愛さんが通っていた野田市立山崎小学校と市教委は、栗原容疑者に一度はアンケートを渡すことを拒んだと語っています。
しかし、栗原容疑者はおさまらず、言葉を荒らげて訴訟をちらつかせたり、ボイスレコーダーを机上に置いたり、情報開示を約束させる「念書」を要求したりしたということです。
小学校は栗原容疑者の求めるままに翌日、校長名で念書を出し、栗原容疑者に心愛さんのアンケートを渡しました。
そのことが県柏児童相談所に伝えられたのは、1カ月以上が過ぎた昨年2月20日で、直接言葉で説明することなく、資料配布にとどまったということです。
児童相談所も一度も自宅を訪問せず
児童相談所が心愛さんの保護解除後、一度も自宅を訪問していなかったことも明らかになりました。
また、今年の冬休み明けから心愛さんがずっと学校を欠席していることは、市の児童家庭課が10日時点で把握していましたが、市教委は「事件が起きて初めて知った」としています。
県の柏児童相談所は21日に学校に連絡した際に長期欠席を把握しましたが、市教委に情報が届くことはなかったということです。
市教委、小学校、児童相談所が皆父親とのトラブルを恐れてか、できるだけ心愛さんに触れないようにしている気がします。
市教委では「担当に任せすぎていた」というコメントまで出ています。
心愛さんが亡くなってから次々出てくる関係機関のずさんな対応。
心愛さんは、大人たちの無責任な保身によって、亡くなるべくして亡くなったといえるかもしれません。