この記事を読むのに必要な時間は約 5 分です。
爆発の被害は半径100メートル
16日に発生した、札幌市平岸のビル爆発。
爆発は50メートル先の建物まで、被害を与えていました。
札幌市消防局によりますとと、17日午前5時時点で、爆発した建物の半径約100メートルで建物20棟、車両26台の被害が確認されています。
爆発現場から約50メートル離れた不動産会社でも、店内のガラスは割れて飛び散り、照明の一部も壊れてつかなくなっており、年内の営業再開は難しいと語っています。
従業員2人が外壁に消臭スプレーを放出
札幌市は爆発から30分後の16日午後9時、豊平区の「平岸まちづくりセンター」を一時避難所として開放しました。
17日未明には最大70人が避難し、夕方になっても約10人が避難を続けており、避難所が解消するめどは立っていません。
爆発した建物には、不動産仲介会社「アパマンショップ平岸駅前店」、飲食店「北のさかな家 海さくら平岸店」、整骨院の三つのテナントが入っていました。
アパマンショップの従業員2人が爆発前、店内の片付けをしていて、室内で約120本の除菌消臭スプレーを放出した後、爆発したとされています。
爆発当日の16日昼過ぎ、現場近くに住む女性は、アパマンショップの外壁に向かって、男性2人がスプレー缶から中身を噴射しているのを目撃しています。
男性は2人とも缶を両手に持って、計4本を一気に噴射していたと語っています。
室内にスプレーの成分が充満
警察では、室内に充満した120本のスプレーの成分に引火して爆発した可能性があるとみて調べています。
アパマンショプの従業員は、昼間、外で除菌消臭スプレーの中身を放出し、さらに外で放出しきれなかった廃棄処分する除菌消臭用のスプレー約120本を室内でまいたとされています。
そして、従業員が、手を洗うため給湯器のスイッチを入れたため引火して爆発したものと思われます。
昨日、札幌のローカルテレビで、透明な箱にこのスプレーの成分1本分を充満させ火を点けるという実験をしていましたが、見事に箱の中で爆発が起こっていました。
それを120本も部屋の中で噴出させたとしたら、ものすごい爆発が起こると考えられます。
このスプレーの製造元の静岡市のメーカーによりますと、スプレー缶には可燃性ガスのジメチルエーテルが使われており、毎月30本をこの事務所に送っていたことが分かっています。
このスプレー缶がたまってしまい、古いものを捨てようとしていたのでしょうか。
現在、警察と消防が調査を進めています。
ビルでは消防計画も作成されておらず
札幌市の消防局によりますと、爆発・倒壊した木造モルタル2階建ての建物の所有者と三つのテナントにはそれぞれ、防火管理者を置く義務がありましたが、いずれも選任されておらず、消防計画も作成されていなかったということです。
さらに、漏電火災報知機や避難器具も設置されていませんでした。
これらは「消防法」などで建物所有者やテナントに義務づけられているもので、消防局は2016年6月から今年10月まで、立ち入り検査や文書で計12回にわたり指導をしてきましたが、指導の都度、4者とも改善の意向を文書などで示したものの、結局実行されないまま、今回の爆発炎上となってしまいました。
この爆発は、明らかに人災であり、警察と消防が原因究明後、損害賠償の義務がアパマンショップとビルの所有者に発生する可能性があります。