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偽装請負の実態と被害者が直面する現実
Aさんの権利は法律で守られているはずなのに、その抜け穴を利用して不当に労働者を搾取する「偽装請負」の問題が後を絶ちません。
今回は、北海道札幌市の労働者が直面した偽装請負の被害を通じて、この深刻な問題について考えます。
偽装請負とは?
偽装請負とは、形式上は「請負契約」(業務委託)であるように見せかけながら、実態は「労働者派遣」である違法な雇用形態です。
労働者派遣の場合、労働基準法が適用されるため、最低賃金や残業代の支払い義務がありますが、請負契約とされることでその義務を逃れ、企業が利益を得る仕組みです。
札幌の労働者のケース
Aさんは、大手求人情報サイト運営会社A社から、民泊代行会社B社へ「業務委託」の名目で派遣され、7年近くにわたり最低賃金以下の報酬で酷使されました。
さらに、膨大な残業を強いられたにもかかわらず、契約が「請負」だったため、残業代は一切支払われませんでした。
しかも、8か月にわたる未払い賃金や膨大なクレーム対応により、リエさんは心身を壊し、ついには生活保護を申請するまで追い詰められました。
リエさんの労働環境は、想像を絶するほど過酷なものでした。
以下はYahoo!ニュースに載っていた実際の証言からの抜粋です。
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休憩なしの9時間勤務が常態化し、1日かかっても終わらない仕事量に追われていた。
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名目上は「業務委託」でありながら、実際にはシフト制で指示命令下で勤務。実態は明らかに雇用契約の形態だった。
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給与から紹介料として毎月22%が引かれた結果、時給は546円。さらに振込み手数料が500円引かれ、月収はわずか6万円程度に。
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会社が無人のホテル運営を開始し、安全管理が機能しないまま、無法地帯のような状態が続いた。暗証番号が使い回され、何者かが突然部屋に侵入するという事態も発生。
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激しい暴言やクレーム対応のプレッシャーで、眠れない日々が続き、ついには適応障害を発症。
公的機関の対応の限界
Aさんは労働基準監督署、札幌市の生活相談窓口、弁護士、法テラスなど、あらゆる公的機関に相談しましたが、どこに行ってもたらい回しにされ、十分な支援が得られませんでした。
特に「しばらく実家に帰って療養したらどうですか?」という心無い言葉に傷ついたといいます。
頼れる家族がいないからこそ、苦しみながらも働き続けたリエさんにとって、その言葉は絶望を深めるものでした。
弁護士を探して10人以上に断られた末、ようやく1人の弁護士が受任しましたが、企業の規模や事案の難しさから、進展は遅々として進んでいません。
リエさんは生活保護を受けながら、その弁護士の対応を待っています。
本当に札幌市の対応はたらい回しです。
公務員のサガでしょうか。
偽装請負の社会的な問題
偽装請負は、企業が利益を得る一方で、労働者に大きな不利益をもたらします。特に以下の問題が顕著です。
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最低賃金以下の報酬:請負契約に偽装することで、最低賃金の規制を逃れる悪質な手口が横行しています。
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未払い賃金や残業代の不払い:契約上「請負」とされることで、残業代の支払いが回避されるケースが多発しています。
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労働基準法の適用外:労働者派遣と異なり、請負契約では労働基準法の保護が及ばず、労働者が不利益を被る構造があります。
社会に求められる対策
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労働者の権利教育の強化
偽装請負の被害を防ぐためには、労働者自身が「労働者の権利」を知り、違法な雇用環境に気づけるようにすることが重要です。SNSやYouTubeなどを活用した啓発が効果的です。 -
ワンストップ相談窓口の設置
相談窓口がバラバラで対応が途切れるのではなく、労働基準監督署や自治体、弁護士などが連携し、一貫したサポートが提供される仕組みが必要です。 -
弁護士費用の補助制度の拡充
偽装請負の被害者が企業と闘うためには、専門的な法律知識が必要ですが、経済的に困窮した人が弁護士費用を支払うのは困難です。そこで、費用を補助する制度の強化が求められます。 -
行政機関の連携強化
相談を受けた行政機関が「ワンストップ窓口」となり、警察や他の行政機関とも連携しつつ、責任を持って最後まで寄り添う支援が必要です。
おわりに
Aさんは「自分の事例が広く知られることで、社会が改善され、同じような被害に遭う人がいなくなってほしい」と語っています。
今回の事例は他人事ではなく、誰にでも起こりうる問題です。労働者が健康で安心して働ける社会を築くために、私たち一人ひとりが声を上げ、現状を変えていくことが重要です。
特に札幌市の対応はとにかく酷くどこに行っても役人根性が発揮されたらい回しにされます。
偽装請負の被害は、社会全体で取り組むべき課題です。
明日は我が身かもしれないという意識を持ち、共により良い社会を目指していきましょう。
そして新しくこのようなことに対応する期間が必要だと思います。