この記事を読むのに必要な時間は約 5 分です。
要点をざっくり
- 車椅子を盗まれた女性に募金が集まり、新しい車椅子がプレゼントされました。
- 8日、千葉市内で開かれたイベントで、車椅子の盗難被害にあった60代の女性に新しい「黄色の車椅子がプレゼントされた」と報じられました。
- この女性は、横浜市内に住む宍戸 かつ子さん( 62)です。
盗まれた宍戸さんの車椅子
昨年の10月24日正午前、宍戸 かつ子さん( 62)が「自分の体の一部」と話す車椅子を盗まれました。
宍戸さんは、20年前から車椅子の生活を送っています。
宍戸さんは、いつものように病院の敷地内に車椅子を止めていたところ、なんと見知らぬ男がその車椅子を持ち去りました。
宍戸さんは、小児麻痺が原因で、生活のほとんどを車椅子に頼る生活をしています。
この時は、歩いて病院に入り、診察を終えて戻ると、車椅子がなくなっていたということです。
50代くらいの男が車椅子を持ち去る
宍戸さんと同じ病院に通う女性が、現場を目撃しています。
その女性によると、男は50代くらいで、つえをついて車椅子に近づくと、車椅子に座り、車輪をこぎ出したということです。
何も知らない女性が「きれいな車いすですね」と声をかけると、男は「うーん」と答え、その場から去りました。
この車椅子は、4年前に、およそ55万円をかけてオーダーメードした特別な車椅子でした。
宍戸さんは、警察に被害届を提出。
警察は、窃盗事件として捜査していましたが未だ犯人は見つかっていません。
宍戸さんは当時のテレビの取材に
「罪に問いたいとかではないんです。本当に、ただひたすら返してほしいだけなんです。ここに置いてくださっても結構です。駅の目立つところに置いてくださっても結構なので、返してください」と話しています。
その後、代わりの車椅子を使っていましたが、体に合わせた作りではないため、背中や足が痛くなるということです。
宍戸さんがフェイスブックに投稿
こうした思いを、宍戸さんが自身のフェイスブックに投稿しました。
「車いすとは! わたしの人生を豊かにしてくれる物。わたしの体なんです!! 返してください」
この投稿が、ネット上で拡散され、この事態を知った全国の人から、およそ40万円の募金が集まりました。
そして8日、新たにオーダーメードした車椅子を、宍戸さんにプレゼントすることになりました。
車椅子が黄色の理由
宍戸さんは贈呈ベントで「前以上にすてきな車いすが出来上がりました。本当にありがとうございます」と胸を詰まらせながらスピーチしています。
出典:FNNニュース
笑顔で、「軽い、軽い」、「やっと自分になった感じがする。やっと自分に戻れたかな」と話しました。
明るい黄色の車椅子にした理由について、宍戸さんは、「今までの嫌だったことも、はねのけるくらいの色にしたかった」、「幸せの色が黄色なのかなと」、「皆様からもらった幸せにずっと乗せていただこうかなと」と話しています。
ネットでは「日本も捨てたものじゃない」の声
今回の報道を受けて、ネットでは「日本も捨てたものじゃない」「すばらしい人たちがいる」と、募金をした人たちへの賞賛の声が相次いでいます。
「困窮を救った善意の皆さんに感謝。まだ日本も捨てたものじゃありませんね」
「盗まれたことはよくないが、結果として、この人を助ける人がいることがわかって、まだまだ日本も捨てたものじゃないなと思いました。寄付を呼び掛けて貢献した人の優しさにほっこりしました」
「素敵な話。体の一部と笑顔が戻って、本当に良かったです」
また、宍戸さんの大切な車椅子を盗んだ犯人に対し、「盗んだ人の気が知れない」「許せない」と怒りの声もあがっています。
ほんとに車椅子を盗んだ犯人は、今この車椅子をどうしているのでしょう。
世の中、悪いことばかりではないですね。