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要点をざっくり
- 現代ビジネスによると、「いしいさや」さんという漫画家が描いている『よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話』という単行本が話題になっています
- これは「エホバの証人」を信仰している母親に育てられた実体験を綴っています。
- エホバの証人の実態とは。
エホバの証人とは
エホバとは
エホバの証人の「エホバ(ヤハウェ)」は全知全能の神。
イエス・キリストはその息子であり、代弁者である。
エホバという神以外は崇拝してはいけません。
教えの出典はすべて聖書です。
ということだそうです。
つまり、エホバの証人とは、「エホバが正しいと証明する人」ということです。
金蜜(mkimpo_kid)
— エホバの証人の吐露会衆 (@TwitCongJW2) 2018年1月7日
エホバの証人の王国会館pic.twitter.com/meAARcOkxU
エホバの証人の布教活動の目的
教えを簡単に言うと、いずれ来るハルマゲドン(世界の終末)の後に楽園がやってきて、その楽園を支配するのはイエス・キリスト。
その楽園に行けるよう現世ではエホバの教えに従って生きましょう、というものです。
最初は創始者が1914年にハルマゲドンがくると予言していて、たまたま第一次世界大戦が起きたため、信者が拡大したのだそうです。
エホバの証人の教えには、この世紀末思想が根本にあるようです。
このハルマゲドンが起こると、地球が崩壊し、その後、信者のみが生き残る。しかし、エホバの証人の教えに反対した人たちは生き残れません。
そのため毎週、地域を訪問して勧誘をするのは「生き残るチャンスを与えるため、彼らを救うため」という理屈だそうです。
エホバの証人のただ一つの義務
エホバの証人では、生きている間の義務は、教えを守るだけです。
布教活動を反対されても、「迫害を受けているのはハルマゲドンが近いからだ」と喜ばないといけないとのことです。
信者をたくさん獲得しなさい、とか、いくらお金を収めなさい、とも言われないので、他の宗教とは違って社会問題にならず、「被害者の会」もないのだそうです。
また、教祖はおらず、「信者の集い」というかたちをとっています。
エホバの証人の正式名称は「ものみの塔聖書冊子協会」です。
教祖も派閥もないため、権力闘争もなく、みんなが平等に聖書研究者と呼ばれているとのことです。
私は「輸血禁止」くらいしか知りませんでした。
「いしいさや」さんがこの本を描くに至った経緯
ツイッターで拡散
「いしいさや」さんは、幼い日の体験を8ページの漫画で描き、ツイッター上で公開しました。
その漫画は瞬く間に話題を呼び、3万5000回以上のリツイートを記録し多くのメッセージがよせられ、その続きが「ヤングマガジン サード」で連載されることになったとのことです。
よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子供の話です pic.twitter.com/TEelqZ1AUf
— いしいさや@ヤンマガサード連載中 (@ishii_saya) 2017年3月1日
この宗教の二世問題で悩んでいる人もかなりいるようです。
子供の頃の体験
いしいさんは、子供の頃、母親と一緒に家を訪問して勧誘するのがとても憂鬱だったそうですが、周りから褒められると嬉しくなってまた勧誘に行ったそうです。
それで、よく子供を連れて女性が家に布教活動にくるんですね。
小さい子を連れて行くものですから、時にはその家でなじられることもあったそうです。
それでも「エホバの証人」は争いを禁じているので、伺ったお宅でいくらなじられても、喧嘩になることはありません。
それに、本人たちは「自分たちが唯一正しい宗教」と信じています。
どれだけ拒否されても「あの人は楽園にいけないね」と、むしろ心配に思っているのだそうです。
牛野角栄(usinousino)
— エホバの証人の吐露会衆 (@TwitCongJW2) 2018年1月5日
エホバの書き置きpic.twitter.com/rB1WZ4yCdM
それで、何度も子供を連れてめげずに布教に家にくるんですね。
この歳で初めて知りました。
エホバの証人で禁止されているもの
・漫画は基本は読んでもいいが『ドラゴンボール』や『ポケモン』みたいな、戦いがある漫画はダメ。さらに厳格に「婚前交渉禁止」なので、その誘発をしかねない少女漫画も禁止。
・エホバの証人について書いたものを読んではいけない。
・政治活動を禁止。
・国歌、校歌を歌ってはいけない。(エホバの証人では「偶像崇拝」が禁じられているため)
・運動会も参加禁止。
・自分の誕生を祝うことも禁止。
・ひな祭りや七夕やなどの季節のパーティ、誕生会も不参加(異教の行事への参加が禁止されているため)
・クリスマスも禁止。
やはり「普通 」ではありませんね。
「罰」は鞭で叩かれること⁉︎
うっかり教えに反することを口にしてしまうと、母親から「おしおき」をされたそうです。
この「おしおき」がかなりキツく、なんとムチで叩かれたというのです。
聖書に「しつけにはムチで叩く」と書いてあるから、本当にムチ、正確にはムチ状のもので叩くのが理由です。
発売中のヤンマガサードvol.9に5話と6話が掲載されています。今回は鞭と学校のお話です。よろしくお願いします! pic.twitter.com/hcG7999PW0
— たかしはるな(いしいさや) (@alpaca_mofu) 2017年8月7日
人によってはベルトだったり、電源コードだったりしたようで、いしいさんの母親はベルトを2本用意して「細いムチ」と「太いムチ」のどちらにするか選ばせ、服を脱がせたうえで直接肌に叩きつけるので刺すように痛かったそうです。
「お願いします」と、自分が納得していることを示し、叩かれた後には「ありがとうございました」と言わなければいけないとのこと。
児童虐待も甚だしいです。
「いしいさやさん」が、エホバの商人をやめたきっかけ
いしいさんがエホバの証人をやめたきっかけは、高校の図書館においてあった、「NHKにようこそ!」(滝本竜彦の小説。ひきこもりの青年と、彼を立ち直らせようとする新興宗教の二世信者の少女を中心とした物語)を読んだからだそうです。
「NHKにようこそ!」に出会えてなかったら、エホバの証人を抜け出せなかっただろうし、漫画を描くこともなかっただろうし、一生「奉仕」する人生だったといしいさんは語っています。
この母親の祖父母もエホバの証人と別の新興宗教に入信していて、母親も二世だったそうです。
その環境が、母親を宗教にのめり込ませたのでしょうか。
父親はエホバの証人に入信はしていませんでしたが、母親の入信を止めようとも奉仕活動をやめさせようともしなかったそうです。
私はこの父親が一番悪いと思います。
信者が正社員になれない驚きの理由
エホバの証人の信者は「正社員」として働いてしまうと活動、奉仕の時間がとれないので、「正社員」として就職しない人が多かったとのことです。
そのため、皆パートやアルバイトで生活費をまかなっていました。
奉仕は時間を報告しなければいけなくて、長く奉仕をしている人には特権が与えられます。
奉仕は平日にもあるので、正社員では難しいためあえて正社員にはならないのだとか。
そこで、いしいさんは高校の時に母親に、「本当は全部嫌だったー!」と打ち明け、集会や奉仕などの活動にも行かなくなり、卒業後に「正社員」として就職しました。
「正社員」として就職したことで、エホバの証人から離れたと兄弟姉妹(エホバの証人の信者たち)にも認識され、無事にエホバの証人から離れることができたそうです。
『よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話』単行本発売中です!電子書籍版も同時発売しております
— たかしはるな(いしいさや) (@alpaca_mofu) 2017年12月20日
子供の頃を思い出しながら描いた実録漫画です
下のリンクから試し読みもできます
ご興味のある方はぜひお手にとって頂けましたら幸いです!よろしくお願い致しますhttps://t.co/XQXpe8GE0j
この宗教は一見他の宗教と違い、神もおらず争いをしないクリーンな宗教にみえますが、新興宗教特有のいきすぎている部分がかなり多いです。
信じてやっている大人はいいとしても、子供を巻き込むことはやめて欲しいと心から思います。