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ゴーン氏が逮捕
11月19日に、東京地検特捜部が、日産自動車のカルロス・ゴーン氏(64)を逮捕して、日本に激震が走っています。
参照:毎日新聞
ゴーン氏を知らない世代も多いようですが、1999年に日産自動車が赤字に転落した際に、ルノーの副社長であったゴーン氏が日産の最高責任者に就任しました。
「コストカッター」という異名を持つ辣腕経営者で、日産で聖域なきリストラを断行。
その後、日産をV時回復させたカリスマ経営者です。
現在は、ルノー、日産自動車、三菱自動車で会長を務めています。
その、ゴーン氏と代表取締役のグレゴリー・ケリー氏が『金融商品取締法違反』で逮捕されました。
これは、役員報酬を実際よりも少なく、有価証券報告書に記載していたものです。
特捜部によれば、2011年から2015年までの4年間にゴーン氏が報告した報酬額は49億8700万円。
実際には、99億9800万円もの報酬を受けとていたことが判明しました。
日産の内部告発の理由
この、ゴーン氏の逮捕は、日産の『内部告発』から始まっています。
この20年間で、ルノーと日産の力関係は逆転。
好調な日産に対して、ルノーが足を引っ張っている形です。
日産の内部では、このルノーとの関係を見直そうと反ゴーン派の役員の動きが顕在化していたようです。
しかし、ルノーはフランスの国営企業。
フランス政府から、ゴーン氏に「絶対に日産を手放すな」という指令が出されていたとみられています。
そのため、ゴーン氏を日産から追い出すために、「内部告発」に至ったのではないかと憶測されています。
ゴーン氏はブラジル生まれ
ゴーン氏は、両親はレバノン人で、祖父の代にブラジルに渡っています。
その後、パリ国立高等鉱業学校を卒業後、ミシュランへ。
そしてヘッドハンティングで、ルノーに転職。
その後、赤字に転落した日産自動車を立て直すべく日産自動車の最高責任者へ。
そんな、サクセスストーリーを絵に描いたようなゴーン氏ですが、年に2回はブラジルのリオで家族と過ごすなど地元を大切にしていたとのことです。
「セブンイレブン」と呼ばれたゴーン氏
ゴーン氏は、日産に7時くらいに出社すると、お昼は社食で大好物のラーメンや、塩鮭定食で済まして夜の11時まで仕事。
ほとんど会社から外に出ず、日本の経営者のように会食や好んでお酒を飲むこともしなかったということです。
また、ゴーン氏は1年を3ヶ所で過ごしており、3分の1は日本、3分の1はルノー本社のあるフランス、そして残り3分の1は二人目の妻のいるニューヨーク。
この二人目の妻とは、ベルサイユ宮殿で結婚披露パーティーを開いて話題になりましたが、この費用も日産から出ているのでは?という疑惑が浮上しています。
隠し金50億円の目的
今、関係者の間では隠し金の50億円について「ブラジルの大統領選の選挙資金」にしようとしていたのではないかとささやかれていると、週刊新潮では報じています。
ゴーン氏は超野心家。
60歳を超えて、政界進出を目論んでいたとしてもおかしくありません。
それにブラジルでは「ゴーン大統領待望論」が巻き起こっているとのことです。
ブラジル出身者で、財をなした成功者として、ブラジルでは「英雄視」されているゴーン氏。
今回の逮捕で、大統領の夢も潰えました。
しかし、恐ろしいのは、内部告発も厭わない「企業の論理」だと私は思います。