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要点をざっくり
- 今週号のフライデーで、『人類がついにガンを克服するときがやってきた』という特集記事を組んでいます。
- よくある誇大広告で、そのうちできるようになるという眉唾の話なのかなと思ったら、今年度中には治験に入れるようです。
- これが本当にできるようになれば、たくさんのガン患者の命が助かります。(うちの父親も大腸がんで入院中です。)
中村医師とゲノム
まず、このガンの治療法を進めている、中村祐輔医師(65)とはいかなる人物なのか。
参照:フライデーデジタル
中村祐輔医師、65歳。シカゴ大学医学部教授と個別化医療センター副センター長を兼任し、世界の第一線で「ゲノム医療」を牽引してきたトップドクターだ。日本ではゲノムという言葉すら知られていなかった’80年代の黎明期に米国で研究に携わり、病気の解明や治療に役立つような数々の遺伝子マーカーを発見、ゲノム医療の道なき道を切り開いてきた。 そんな中村医師のゲノム研究が今、がん治療に新たな光明を投じている。ついに、がんが治る時代が訪れたのだ。ノーベル賞にもっとも近い医師、「世界のナカムラ」は6年に及ぶシカゴでの生活を終え、凱旋帰国したのだった。注射1本でがん消滅 ゲノム解析でがんを克服するときがやってきた – ライブドアニュース
フライデーデジタルから引用
この中村医師は、大阪大学の医学部を卒業後、外科医をしていたのですが、「遺伝性大腸ガン」の論文を読み感銘を受け、31歳の時にアメリカに渡り研究者となり、ゲノム研究に打ち込んで、今やゲノム研究の第一人者になりました。
このゲノムとは、「生物を構成するすべての遺伝情報」のことです。
かつて、遺伝子を解明するための「ヒトゲノム」計画が進められました。
そして「ヒトゲノム」が、2003年にすべて解明されています。
このゲノムを活用したがんの診断や新薬の開発は、世界中で急ピッチに進んでおり、そのトップランナーとして走り続けてきたのが中村医師だそうです。
「がん研究会プレシジョン医療研究センター」の所長に就任
中村医師は、
「長年、ゲノム研究を続けてきたのは日本の患者さんに笑顔が戻る医療を提供するため。帰国を決めたのも、さらに一歩それを進めることが目的です」
と語っており、今年7月1日付で「がん研究会」(江東区有明)に創設された「がん研究会プレシジョン医療研究センター」の所長に就任しています。
また、内閣府戦略的イノベーション創造プログラムの『「AIホスピタル」プロジェクトディレクター』にも指名を受けており、大忙しだそうです。
中村医師は、ガンで治療の選択がなくなった患者さんのために、10年、20年先を見据えて、アメリカではなく日本で活動することを選択したのだそうです。
およそ40年間の永きにわたってゲノム研究に没頭し、世界のトップとして活躍してきた中村医師。そのゴールが、ついに見えてきた。
「今はゲノム解析を利用すると、1ヵ月程度でがんワクチンを作れる技術が確立しています。患者さんはそれを注射で受けるだけでいい。投与したワクチンによって、体内でがんを攻撃するリンパ球の数が増えるだけでなく、そのリンパ球自体も元気になり、身体の免疫も引き上げられる。」
日本ではいくつかの施設が研究段階にあるが、中村医師は「治療の選択肢が無くなってしまった患者さんができるだけ参加できるように、少なくとも今年度中には民間病院主導の治験を始めたい」と準備を急いでいる。
フライデーから引用
この「画期的治療法」が、今年度中に「治験」が始められるようです。
「治験」ということは、もはや実用が近いということです。
治療の内容をざっくり
ざっくりこのゲノムを利用した治療法を解説すると
『自分のリンパ球で、がん細胞を攻撃し死滅させる』というものです。
ガン細胞の中にあるリンパ球には、「がん細胞を攻撃する」という性質を持っているものがあるのだそうです。
(そのリンパ球は患者ごとに異なる)
実験の写真を見ると、このリンパ球ががん細胞を取り囲み攻撃し、がん細胞が跡形もなく消えています。
参照:フライデー
この「ガンを攻撃するリンパ球の特定」がこの治療の鍵になります。
患者からとった、針の先ほどのガン組織で、この遺伝子を解析し、がん細胞を攻撃するリンパ球を特定できる技術はすでにあるとのことです。
ごく近い将来に、このリンパ球を使って、ガンのワクチンや人工的に作ったリンパ球を治療に応用できるようになるとのこと。
問題は、この「ガンを攻撃するリンパ球」を製造する時間です。
中村医師は、最先端技術でトップスピードで行えば
・遺伝子の特定に8日
・人工的なリンパ球作成に3ヶ月
あれば、患者にこの「人工リンパ球」を確実に届けられると語っています。
それも、「少なくても今年度中には民間主導の治験を始めたい」と準備を急いでいる段階だそうです。
これまでの、〇〇ガンに効くのはこの薬のような個別なものではなく、部位に関係なく患者の遺伝子ごとのガンワクチンが作られ、『注射1本でガンが治療できる時代』が目の前までやってきています。
厚生労働省の認可がどうとかいわずに、すでに治療方法がなくなった患者にとっては喉から手が出るくらいの画期的な治療法ですから、できるだけ早急にこの治療法の実現ができるように、心からお願いしたいと思います。