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要点をざっくり
- 埼玉県朝霞市で2014年に行方不明になった、当時中学1年の少女が約2年後に保護された事件の判決が出ました。
- 寺内樺風(かぶ)被告(25)に出された判決は、懲役9年(求刑・懲役15年)です。
- 誘拐された少女は、「PTSD」になりいまだに社会復帰ができていないようです。
朝霧少女誘拐事件の経緯
未成年者誘拐と監禁致傷などの罪に問われた寺内樺風(かぶ)被告(25)に対し、さいたま地裁(松原里美裁判長)は12日「犯行態様は卑劣で悪質」などとして完全責任能力を認め、懲役9年(求刑・懲役15年)を言い渡しました。
寺内被告は14年3月10日、少女に声をかけて車に乗せ、千葉市稲毛区の当時の自宅に誘拐。
16年3月まで同区と東京都中野区の自宅に少女を監禁し、重度の心的外傷後ストレス障害(PTSD)を負わせるなどしました。
2年間も当時中学1年だった少女を監禁し続けたという、猟奇的な事件です。
寺内被告側は「責任能力がなかった」と主張
こういう常軌を逸したな事件になると、必ず被告の精神鑑定が行われます。
寺内被告は、相手の感情を感じ取ったり自分の行動の不適切さを理解したりすることが苦手な発達障害「自閉スペクトラム症」の傾向にあったとの鑑定結果が出ました。
しかし、これくらいは普通の人にもありますし、寺内被告は千葉大学にも入学しており、就職活動もしています。
アルバイトもしていますから、普通、これだけで責任能力がなかったとはいえないでしょう。
寺内被告の猟奇的願望と犯行
「女子中学生か女子高校生を誘拐、監禁して社会から隔離し、その変化を観察したい」
寺内被告は遅くとも平成24年2月ごろからそう考えるようになり、過去の誘拐、監禁事件や洗脳に関する記事や書籍を読み、犯行のイメージを膨らませていったとのことです。
中学生をインターネットで物色し、自分が目をつけた中学生が下校時に「両親が離婚することになった」と無理やり車に乗せ(ナンバープレートは盗んだものと交換)、「両親が離婚するという話は嘘だ」と明かし、「本当はあなたの家庭に借金があり、あなたの臓器を売ってお金をつくろうと両親は考えている」と、とんでもないことを少女に話したのです。
そして、あらかじめ音声合成ソフトで作っておいた臓器売買に関する音声データを聞かせました。
少女はただ、困惑するばかりだったということです。
その後、千葉県の自宅で「私は捨てられた。帰る場所はない」と繰り返し書かせ復唱させるなどしました。
少女が監禁されていた部屋
玄関のドアスコープには外から見えないように目張りがされていました
出典:ビジネスジャーナル
また、洗脳の一環として、アサガオの種から合成麻薬LSDに似た作用がある成分を抽出してドラッグを作り、少女の食事に混ぜて体調不良にさせたことも判明しています
そして、少女は「捨てられた、帰る場所がないという言葉が頭の中でぐるぐるして、涙は自然と出なくなり、うれしい、悲しいという感情がなくなった」と話しています。
寺内被告の裁判での奇行の数々
判決の日には、寺内被告は上下とも黒のスーツ姿で入廷。
髪形は丸刈りで、険しい表情だったという事です。
延期された昨年8月の判決公判では人定質問で別人の名前を答えましたが、この日は「寺内樺風です」と言い、直立して松原裁判長の方を見据えたまま主文の言い渡しを聞いたとのことです。
2017年8月の裁判では、奇声を上げながら入廷
2017年8月に行われた裁判では「私はオオタニケンジでございます」「イエス、イエス。イッツカミング、ワッツ…」などと英語とみられる言葉を話し着席しました。
埼玉県朝霞市の少女が昨年3月、約2年ぶりに保護された誘拐事件で、#寺内樺風 被告の判決公判が29日に開かれた。
— 楽天Infoseekニュース (@Infoseeknews) 2017年8月29日
【埼玉少女誘拐】「職業は森の妖精」「今なら、からあげクン増量」 寺内樺風被告が奇声上げ判決公判休廷→延期https://t.co/2TsvgH5chd pic.twitter.com/K0Pg63i2ng
以下は松原裁判長と寺内被告の会話です。
「名前は」⇨「オオタニケンジでございます」
「今いくつですか」⇨「16歳です」
「本籍はどちらですか」⇨「和歌山県那智の滝です」
「それ以下の番地などは分かりますか」⇨「私は日本語が分かりません」
「住所はどこですか」⇨「群馬県高崎オートレース場です」
「本籍はどこですか」⇨「和歌山県那智の滝です」
「それ以上の詳しいものは分かりますか」⇨「私は日本語が分かりません」
「職業は」⇨「森の妖精です」
「ここはどこだか分かりますか」⇨「トイレです」
「あなたは今なぜここにいるか分かりますか」⇨「私はおなかがすいています。今なら、1個からあげクン増量中」
休廷後 寺内被告が入廷。歩きながら「9月で35周年」と叫ぶ
「名前は」⇨「私はアメーバです」
「寺内さんじゃないですか」⇨「私はオオタニケンジでございます」
ここまで会話を噛み合わさせないのにも、頭を使います。
これは、私が考える限りわざとですね。
おそらく、今まで裁判で見せた姿は、意図的な演技ではないかと思われます。
最後の判決の時はまともですし。
被害者は無期懲役を望む
2017年7月の論告求刑公判では両親がそろって意見陳述し、「娘の人生をめちゃくちゃにされた」「娘の傷は消えない。一生刑務所から出てきてほしくない」と述べています。
また、少女本人も、寺内被告への処罰感情について
「刑務所から3~5年で出てこられるのは嫌だ。10年以上入っていてほしい。一生刑務所から出てこられない無期懲役にしてほしいと思います」と訴えていました。
私も寺内被告には、「無期懲役」がふさわしいと思います。
反省の言葉が一度もありませんから、出所したらまた犠牲者がでるような気がしてなりません。