【障害者170人を16日付で解雇】相次ぐA型事業所の閉鎖‼︎新たな「貧困ビジネス」か⁉︎

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要点をざっくり

  • 障害者の就労を支援する福祉サービス事業所を運営する倉敷市の事業者が資金繰りの悪化を理由に事業を停止し、16日付けで、利用者およそ170人を解雇しました。
  • 代理人弁護士によると、障害者らの賃金約1カ月半分などが未払いとなる見込みで、負債総額は6億円を超えるということです。
  • 就労支援型A型事業所は破産が相次ぎ、補助金目当ての「貧困ビジネス」の横行も指摘されていました。

 就労支援A型施設「フィル」が自己破産

 

 障害者が働きながら技能を身に付ける「就労継続支援A型事業所」が突然廃業し、大量解雇が相次いでいる問題で、新たに倉敷市に本社があり「しあわせ工房」という名前で「就労継続支援A型事業所」を運営している「フィル」が15日、資金繰りの悪化を理由にすべての事業を停止しました。

 

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出典:山陽新聞デジタル

 

代理人弁護士によると、障害者らの賃金約1カ月半分などが未払いとなる見込みで、負債総額は6億円を超えるということです。。

 

解雇者は職員約90人も含めて計260人。

16日までに全員に解雇通知書を郵送し、21日に利用者に対して事業停止に至った経緯や今後の対応について説明会を開くことにしています。

 

フィルは2013年12月の設立。

 パン製造やパソコンによるデータ入力などの事業を展開し、一時は260人以上の障害者を雇用して全国最大規模の事業所だったということです。

 

しかし、十分な収益を上げられず、経費削減を図る狙いで6カ所あったA型事業所のうち岡山、総社、福山市の3カ所を2月末に閉鎖し、規模を縮小していました。


岡本健治社長は新聞社の取材に対し「事業拡大による資金繰りの悪化が要因。全ての責任は私にある」と話しています。

 

一方、倉敷市では、解雇された利用者の再就職先の調整などが十分ではないとして、今月20日までに改善報告書の提出を求める勧告を行いました。


倉敷市は「今後は解雇された利用者の生活を守るために雇用保険の説明会などを開きサポートしていきたい」と話しています。

 

就労支援A型事業所の大量解雇の問題

 

A型事業所は厚生労働省の調査で、実態を把握できた全国3036カ所のうち71%に当たる2157カ所が事業収益で賃金を賄えない実質赤字の状態にあることが判明しています。

 

 

ィルのある、倉敷市では昨年7月末に一般社団法人「あじさいの輪」などが運営するA型事業所5カ所が閉鎖し、障害者224人が解雇されたばかりです。

大量解雇はその後も福山市と府中市などで起き、昨夏以降の判明分だけで計700人を超え、利用者らに不安が広がっています。

A型事業所は国や自治体からの手厚い補助金を背景に、全国で急増しています。

 

事業者の中には仕事の内容が軽作業ばかりで、収益が見込めないままで補助金を当て込んで参入する『貧困ビジネス』の横行が以前から指摘されていました。

 

赤字でも経営できる理由

 

就労支援A型の事業所は、ほとんどが補助金で運営されているのが実態です。

 

札幌で「ブルーム」という、就労支援A型事業所が経営者の不正請求のため事業を停止したところ、その翌日には新しい事業所が設立されていました。

 

 市役所に問い合わせたところ、「書類がきちんとしていれば認可する(せざるをせえない?)」という回答でした。

 

基本的に自治体では、障害者の支援ができればいいという考えのようです。

 

そうしたところ、山陽新聞デジタルに以下のようなコメントが掲載されていました

” 

久保寺一男・NPO法人「就労継続支援A型事業所全国協議会」理事長の話 

 

フィルは事業内容に比べて利用者数があまりにも多すぎる。A型事業所の認可や監査の基準はあるようでないのが実態で、事業所の厳正な判断を監督責任のある自治体だけに任せていることがそもそも問題ではないか。事業所をチェックするためのしっかりとした基準を国レベルで策定すべきだ。場当たり的な対応では再発を防げない。

” 

A型事業所は、国が監督しているわけではなく、各自治体まかせなんですね。

 

各自治体には、A型事業所の設置について割り当てがあるでしょうから、それをこなすために認可が甘くなっている可能性は否定できません。

 

これだけの、破産や解雇者が出ている以上、自治体まかせではすでに限界だと思われます。

制度自体の見直しも含め、早急に国の介入が不可避だと私は考えます。

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