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要点をざっくり
- 北海道北部の利尻島の海岸で、ヒグマとみられる足跡が見つかりました。
- 利尻富士町によりますと1912年にヒグマ1頭が駆除された記録がありますが、今回確認されると106年ぶりになるということです。
- 利尻島では、現在ヒグマに対する警戒を強めています。
利尻島にヒグマ?
北海道北部の利尻島の海岸で、ヒグマとみられる足跡が見つかりました。
提供:利尻富士町
しかし、島にヒグマは生息していないとされてきており、100年以上前に海を泳いできたと思われるヒグマが捕獲された記録があり、それ以来の出来事です。
利尻島は、北海道の北部、日本海上に浮かぶほぼ円形の島で面積は182・1km²です。
島内には利尻富士町と利尻町の自治体があり、利尻富士町が2540人、利尻町が2074人で、島の総人口は約4600人です。
島では住民や観光客に注意を呼びかけて、警戒しています。
足跡は島の南側にある利尻富士町沼浦地区の南浜の海岸で30日午後1時前、地元の人が見つけて警察に届け出ました。
参照:HTBニュース
道警稚内署によると、長さ約25センチ、幅約20センチで、複数あったということです。
同町が研究機関に確認したところ、足跡から6~7歳以上の成獣のオスとみられ、専門家は「泳いで渡ってきたと思われる」と話しています。
106年前にも泳いで渡ったヒグマが
利尻町役場のHPによると
参照:利尻町役場HP
1912年(明治45年)5月24日、利尻島の東、旭浜の海を泳ぐ熊が斧で撲殺された事件があった。
このことは小樽新聞(5月23・25・30日)、北海タイムス(6月2日)に載っている。
利尻町役場HPより引用
1912年に北海道本島から泳いできたこのヒグマは、年齢は7、8歳ほどで、体重は300~340㎏、当時の島民が悪戦苦闘のすえ捕獲したと新聞に載っています。
それ以来106年の間、利尻島にはヒグマは見つかっていません。
ちなみに、ヘビもいないそうです。
なぜ、ヒグマは泳いで利尻島に渡ったのか
利尻島は対岸の稚内市から、最短でも約20キロあります。
専門家の話でも、いくら泳ぎが得意なクマでも20キロを泳ぎ切るのはさすがに難しく、雄の成獣であれば不可能ではないが、メスや子熊では無理だろうとの見解です。
参照:ハートランドフェリー HP
それでは、なぜ20キロも離れた島を目指したのでしょうか。
ベテランハンターで、これまで25頭のヒグマを仕留めた進藤正信さんは
「交尾のためにメス探して渡ったか、食べ物を探しに渡ったのではないか」と推察しています。
今、オス熊は繁殖のために活発にメスを探す時期です(熊の繁殖期:5月下旬から7月中旬)。
オス熊だった場合、縄張り争いに負けて海を渡った可能性もあり、島に上陸したヒグマは、フキなどを食べながら、メスを探しているのではと語っています。
ヒグマが、メス熊がいないとわかったら泳いで本島に戻る可能性もあるとのことです。
このヒグマがもしもメスなら、交尾が終わって妊娠していた場合、島で増える可能性もあるとも語っています。
このヒグマがオスで、メス熊がいないと分かって北海道本島にまた泳いで帰ってくれるといいのですが。
今日は、利尻島でマラソン大会が開かれます。
ランナーが、ヒグマに遭遇しないことを祈ります。