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要点をざっくり
- 雑炊の作り方が悪いと、店主が正座したまま2人の客に殴り殺された事件の裁判で、現場の壮絶さが判明しました。
- きっかけはアルバイト従業員の作った「締めの雑炊」でした。
- 判決後、両被告は量刑を不服として控訴しています。
アルバイトの作った締めの雑炊
今回、ちゃんこ店のアルバイトの作った雑炊の概要が分かりました。
同店では普段、雑炊は客に調理してもらっており、店員は雑炊を作った経験がなく、締めの雑炊を作れと指示され、『火を落として冷え切っている鍋にそのままご飯を入れ、その上に溶かないままの生卵をかけた』ということです。
その雑炊が気にくわないということで、昨年末、滋賀県草津市のちゃんこ店経営、糸岡真二さん(享年60)が、客の男2人から店内で暴行を受け死亡した事件。
糸岡さんが正座し謝っているにもかかわらす、殴る蹴るの暴行は約1時間半続き、発見されたときには糸岡さんは血まみれであばらが十数カ所も折れた状態でした。
なぜそこまで執拗(しつよう)な暴行を加えたのかについて、傷害致死罪で起訴された被告らから、理由が語られれることはありませんでした。
おそらく、一度切れたら相手が死ぬまで止まらない性格なのだと思われます。
それで浜野被告は、極道の世界でも忌み嫌われ、いられなくなったと推察されます。
大将連れてこいと激昂
この事件が起きたのは昨年12月21日です。
JR草津駅の近くにある、ちゃんこ店「隠れDining蔵間」草津店に、午後7時ごろ、不動産仲介業、浜野慶治被告(46)と土木作業員、関一也被告(46)ら7人が訪れました。
浜野被告らは同店を何度か利用したことがあり、この日は奥の座敷で忘年会でした。
公判などによりますと、宴会も終わりに近づいた午後11時ごろ、被告らは締めの雑炊を注文。
ご飯や生卵などを用意して、部屋に入ったアルバイト店員に雑炊を作るよう要求し、前述のような雑炊を作ったことに激昂し、「大将連れてこい」と怒鳴りました。
店長は雑炊の作り方に問題があったことを認め謝罪しましたが、浜野被告らは「糸岡とは知り合いなんや。連絡しろ」と、別の店舗にいた糸岡さんを呼ぶよう要求。
連絡を受けた糸岡さんは午後11時半ごろ店にきて1人で座敷に入り、正座して謝罪しましたが、浜野被告らはそれではおさまりませんでした。
血まみれで正座して謝る
「座敷の中からは、浜野被告の怒鳴り声やガラスが割れるような音に混じり、糸岡さんのうめき声が聞こえてきた」
検察側は暴行時の様子をこう明らかにしました。
浜野被告は、正座で謝罪する糸岡さんの頭や背中を殴ったり蹴ったりし、糸岡さんが次第にうずくまるようになると、背中にも暴行を加えました。
両被告の暴行は代わる代わる繰り返され、少なくとも計50~60回の暴行があったと検察は指摘。
同席者は、糸岡さんが鍋の中身をぶちまけられたり、鍋で頭を殴られる様子も見たということです。
この間、糸岡さんは抵抗せず、殴られるがままでした。
静止した仲間も殴る
暴行は、制止しようとした仲間らにも加えられたということです。
手に負えないと判断した仲間たちは、これ以上はまずいと判断し、散りじりに店から逃げ出しました。
22日午前1時ごろ、仲間の1人が慌てて店を出た際に、体をぶつけ入り口のドアガラスが割れ、その音で近隣店舗が騒ぎに気付き、草津署に通報。
署員が駆けつけると、糸岡さんが血まみれで正座し、朦朧(もうろう)としていたということです。
この後、店は予約がほとんどキャンセルになり、閉店を余儀なくされています。
浜野容疑者は「手加減した」と主張
浜野容疑者らは、『手加減』して殴っており、小突いたという感じ。
激高していたわけではなく、暴力自体は激しくなかったと主張。
しかし、糸岡さんのあばら骨の骨折は十数カ所に及び、肺に刺さった骨が致命傷になっています。
糸岡さんが搬送される様子を見ていた近くの飲食店の男性は「誰か分からないくらい、顔が腫れ上がっていた」と語っています。
小突いてこれほどになるとは、誰も考えません。
法廷では浜野被告はこの暴力事件よりも、かつて所属した暴力団で「絶縁処分」を受けた理由について、その口惜しさなどを熱心に語りました。
しかし、今回の犯行については、「尊い命を奪うことになり申し訳ない」と述べたものの、相手が謝罪しているのに暴行をエスカレートさせた詳しい理由などは語りませんでした。
浜野被告にとってみれば、殺人よりも組からの絶縁の方が重いということでしょう。
浜野被告懲役15年に納得できず
検察側は論告で「全く落ち度のない被害者に因縁をつけているに等しい」などと、浜野被告に傷害致死罪の量刑の上限にあたる懲役20年、関被告には懲役15年を求刑。
弁護側は「犯行は、浜野被告の飲酒による自制心の低下も影響している」「周囲が早く110番するなどの措置をしたら、事態の拡大は防げた」などと情状酌量を求めました。
周囲の人間が、仕返しが怖くて110番通報ができなかったのは事実のようです。
浜野被告は求刑後の最終意見陳述では「20年…。重すぎる。それにしても納得できない求刑だ」などと語りました。
浜野被告たちは、糸岡さんを殺害したことについては、特に反省はないようです。
判決は、浜野被告が懲役15年、関被告が同10年。
両被告は量刑を不服として控訴しました。
浜野容疑者は前科10犯以上
2018年の1月11の日刊ゲンダイDIGITALの記事でこの浜野容疑者について、捜査事情通が語った以下のようなコメントがあります。
「2人とも前科モンですが、浜野容疑者は神戸山口組山健組系の元幹部で、極道の世界でも一目置かれるほどの問題児です。集団リンチのうえの死体遺棄、恐喝、傷害、シャブなど、前科は10犯以上ある。組から破門をくらい、土地のブローカーみたいなことをやっていた。これまでムショを出たり、入ったりの生活を繰り返す粗暴犯です。今回も殺人ではなく傷害致死ですから、せいぜい10年のムショ暮らしがいいところ。ああだこうだ言って、罪を軽くしようと企むはずです」(前出の捜査事情通)
(3ページ目)リンチ2時間 ちゃんこ店主撲殺男は前科10犯元暴力団幹部|日刊ゲンダイDIGITAL
日刊ゲンダイDIGITALより引用
この通りの展開になっています。
判決は10年くらいだと踏んでいたところ、15年になったことで納得がいかないのでしょう。
浜野慶治被告はフェイスブック名を天野慶士といい、自分や家族の写真も投稿されているようです。(誰か別の人間が作ったのかもしれません)
参照:天野慶士フェイスブック
なかなか迫力のある写真です。
山健組の恥さらし pic.twitter.com/dY5vdugtit
— バッタもんの腐れ外道 (@RixyfAW5o1DGeZ5) 2016年4月3日
本人とは思えませんが、ツイッターのアカウントも作られていました。
浜野被告は、2003年にも殺人事件で懲役10年の判決を受けて、2011年に8年間で刑を終えて出所しているようです。
この時も殺人で懲役10年なので、今回の懲役15年の判決には納得できないということでしょう。
公判で弁護人から「これからどうしたいか」と問われ、「服役後は仏門に入る」と浜野被告は答えました。
刑務所で在家信者になるという手もありますから、もし本気ならご一考願えればと思います。