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要点をざっくり
- 現在、北海道ではヒグマの目撃情報が絶えません。
- 北海道羅臼町で今月1日、飼い犬2匹がヒグマに襲われました。
- 犬はヒグマに襲われ、腹部を食われた状態で発見されました。
羅臼町で犬がヒグマに襲われる
北海道羅臼町で今月1日、飼い犬2匹がヒグマに襲われました。
参照:毎日新聞
この犬たちは、羅臼町で漁業、藤本繁樹さん(47)の飼い犬でした。
1日午後2時ごろ、同町海岸町の倉庫に漁業資材を取りに行った藤本さんは、黒い飼い犬の姿がないのに気づきました。
犬は大きな石にくくりつけていましたが、その鎖ごともぎ取られていました。
辺りには血の跡も発見されています。
そして、少し離れたところで飼っていた白い犬は、腹部を食われた状態で横たわっていたということです。
白い犬の方は、何ものかが鎖を引っ張って持ち去ろうとしたものの抜けなかったため、そこに置いていかれたようでした。
「間違いなくクマだ」と確信
藤本さんは、この現場を見て「間違いなくクマだ」と確信したそうです。
そして、藤本さんが、黒い犬を探しに浜の方へ出ると、なんとヒグマと遭遇したとのことです。
距離にして10メートル前後。
ヒグマなら一瞬で飛び掛かってこれます。
藤本さんが、「あっ」と声を出すとヒグマは「ウォー」とほえて山の方へ逃げたということです。
そのヒグマは体長1.5~2メートルほどでやせていたそうです。
ヒグマにしては小柄だったのがまだ救いです
参照:日テレ24
2015年に北海道の紋別市で捕獲された体重400キロのヒグマ
しかし、小柄でもこのヒグマが藤本さんを襲ってきていたら、ひとたまりもありませんでした。
ヒグマは獲物への「執着」がすごい
そのヒグマがいた場所には30センチほど土が盛られていて、黒い犬が横たわっていました。
この黒い犬も、白い犬と同様、腹部が食われていたということです。
野生動物は、動物の一番柔らかく食べやすい腹部を食べます。
私が昔見た映画では、人間が腹部をクマに食べられ餌として埋められていました。
ヒグマは特に獲物に対する執着が強く、食べ残した獲物に土をかぶせ、後で掘り返して食べる習性があるため、一旦獲物である黒い犬を埋めようとしていたと思われます。
この2匹の犬は、藤本さんの祖母のゆりさん(92)の番犬で、ヒグマの気配を感じると吠えて向かっていく勇敢な犬だったそうです。
今回、鎖で繋がれていなければ、これほど簡単にやられなかったと思います。
福岡大学ワンダーフォーゲル部ヒグマ事件
ヒグマは最大級のクマ科の動物で、「日本に生息する最大の陸上哺乳類」です。
大きなものになると体長は3m、体重は500kgに達することもあります。
時速60kmで走ることもでき、木にも登れますし泳ぎも得意です。
このヒグマに一度狙われたら、人間なんてひとたまりもありません。
参照:毎日新聞
1970年に、『福岡大学ワンダーフォーゲル部ヒグマ事件』というヒグマによる悲惨な事件が発生しました。
この時は、オスの若いヒグマにワンダーフォーゲル部の5人のうち3人が殺害されています。
この時のヒグマの殺害の原因は、最初にヒグマに会い遭遇した際、ヒグマにあさられたリュックを取り返してしまったことで、ヒグマから敵とみなされてしまいました。
執拗にヒグマに追い詰められ、3人が犠牲になりました。
このヒグマを退治に行ったハンターが見たのは「着衣が剥ぎ取られ裸の状態にベルトだけ。顔半分がなかったり、腹部から腸が引きずり出された遺体」でした。
参照:ヒグマの会HP
ヒグマは非常に執着心が強い動物のため、一度ヒグマの所有物(犬、リュック)になったものを取り返すのは無謀な行為だと改めて思い知らされた事件でした。
現在、北海道では人里でヒグマが度々目撃されていますが、非常に危険な猛獣であり、細心の注意を払わなければまた恐ろしい事件に発展しかねません。